1927年創業の最も歴史ある「金沢おでん」の名店のひとつ
代々の女将たちが守ってきた、毎日欠かさずに継ぎ足す秘伝の出汁
-金澤おでん-
赤玉本店のおでん
「金沢おでん」は冬だけじゃない。
春夏秋冬、いつでも楽しめる地元の味
加賀百万石を誇った石川県・金沢には、実は地元の人や観光客に愛されるおでん屋がいくつもあります。
金沢おでんは、90年近い歴史を持つお店もあるほど、昔から親しまれてきた味です。
たっぷりのお出汁に、具材は大根、昆布、こんにゃくはもちろん、赤いなるとのような「赤巻」「梅貝」「車麩」魚のすり身を蒸した「ふかし」銀杏の入ったがんもどき「ひろず」などが定番で、季節を問わず人気です。
さらに旬の食材をおでんで楽しみます。中でもおすすめは冬しか食べられない、石川で揚がるズワイガニのメス・香箱蟹(こうばこがに)の身と内子ごと甲羅に盛り込んだ「カニ面」です。
市内の創業50年以上の老舗でつくる「金沢おでん老舗50年会」によると、金沢おでんの条件は、おでん種に地元、金沢の食材を使っていること。もうひとつは、冬季に限定せず1年を通して食べられること、です。市内には、おでん専門店や年中おでんを出す居酒屋などが多数あります。
春夏秋冬、いつでも楽しめるのが金沢おでんなのです。
曾祖母から代々、女将が受け継いできた
金澤おでん「赤玉本店」の味を守る4代目
赤玉本店とは ―その歴史と女将たち―
名物のおでん種「赤玉ばくだん」を持っているのは、曾祖母から代々受け継いできた金澤おでんの味を守る4代目になる若女将、田端葉月さん。
昭和2年(1927年)に洋食を出すカフェーとして誕生した赤玉本店は、創業者である夫を亡くした曾祖母の小坂ヒサさんが戦後、女手ひとつで営めるおでん屋として生まれ変わりました。その後、祖母の小坂利枝さん、母の佐津川江実子さんが看板女将として店を引き継いできました。
先代も言っていたのが「祖母が作ったおでんを舌で覚えている」ということ。同じ味を作り続けています。 お母さんの味、おばあちゃんの味を求めて金沢の人が集う名店です。北陸新幹線の開業後は、各地からの観光客も店に大挙するようになりました。
毎日継ぎ足される秘伝の出汁を含んだ具材を
澄んだお出汁で供する
金沢おでんには、出汁(だし)の決まりはありません。それぞれの家庭やお店が独自の味を作り出しています。 赤玉本店では、北海道産の昆布と国産の煮干しから取る「お醤油の入っていない澄んだお出汁〈おでんだし〉」が基本で、地元の大野醤油を加えたのが「お醤油の入っているお出汁〈黒だし〉」です。
その出汁に色々な食材の旨味が移ったところへ、毎日継ぎ足す新しい出汁が加わって、唯一無二の味になります。甘さは控えめ、すっきりとした後味が特徴です。
さらに赤玉本店のこだわりは、「黒だし」で具材にほどよく味を含ませてから「おでんだし」を具材を入れたお皿に注いでお客様に供することです。事前に黒だしで味つけをしないおでん種もありますが、この工夫で、最後にお出汁を飲み干せるおでんになるのです。 お店で出す味を再現するために、お取り寄せ用の詰め合わせも同じ作り方をしています。
金沢おでんならでは
地元の味を楽しめる赤玉本店人気のおでん種
赤玉本店のおでん種で人気なのは大根と車麩(くるまふ)。どちらも大振りで、自慢のお出汁をたっぷり吸っています。つみれは地元でメギスと呼ばれる魚、「にぎす」をすり潰して作ったもので、これも石川の家庭の味です。
油揚げに豚と鶏の挽肉と人参を詰めた「肉いなり」も外せません。 なるとにも似た「赤巻」は、赤と白の生地を巻き込んだ、北陸を代表する蒲鉾です。今回のお取り寄せには含まれませんが、パプリカで色付けした練り物にうずらの卵が入ったオリジナルのおでん種、その名も「赤玉ばくだん」もインパクト大です。
「金澤おでん 赤玉本店」の味をお取り寄せ
地元では四季を通して親しまれていながら、全国的にはまだまだ知られていない金沢おでんの老舗、「金澤おでん 赤玉本店」の味をお取り寄せできます。お出汁を飲み干したくなる赤玉本店のおでんは、冷蔵便で届きます。ひとり分ずつのパックに入っているので温めるとすぐに食べられます。
文・株式会社 食文化 酒井 恵美子