長野を代表する黒ぶどうを究める生産者
長野県長野市
伊藤秀樹さんの
ナガノパープル
「美味しいナガノパープルを
作りたい」
その一心で始めた葡萄づくり
伊藤ぶどう果樹園の園主・伊藤秀樹さんは、葡萄の兼業農家で育ちました。
もともと別の仕事をしていたところ、2004年に品種登録された長野県のオリジナル葡萄「ナガノパープル」が、
本格的に葡萄づくりを始める契機となりました。
「種が無く、皮まで食べられる、大粒の黒ぶどう」にこれまでにない葡萄の可能性を感じ、
ナガノパープルを作りたい一心で農業大学校へ入学。在学中に実家の巨峰畑を引き継ぎ、ナガノパープルに植え替えていきました。現在、園地には、当時植えた樹齢10年を越えるナガノパープルの樹が立派に実をつけています。
「ナガノパープルは、樹齢10年を過ぎると収穫量も味も安定してどんどん濃厚で良くなるんです。作り始めて2022年で12年目、今ちょうど仕上がっている。皮の際まで濃厚な甘さのあるナガノパープルを食べて貰いたい。」
植え付けのときから時間をかけて
樹に生り方を覚えさせる
伊藤ぶどう果樹園は、標高300mほど、千曲川の沿岸に位置しています。
川の上流から運ばれる土が堆積した土地は、肥沃な土壌です。そのため、「土と樹の健康状態を細かく管理すること」が美味しい葡萄づくりには欠かせません。
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1.土壌管理
土の状態を常に確認しやすいように、下草をこまめに刈り取り整地。土が本来のもつ栄養素を活かし、肥料を与えすぎないこと。
2.水分管理と防除
ビニール屋根で雨を除け、灌水装置で水分を管理。防除の袋掛けは、生育段階と収穫直前の2段階で掛け替えを実施。
3.管理の正確性とスピードを両立
研修生と家族の僅かな人数で手入れを行うため、樹の枝を直線型に成長させ、摘果・摘粒・防除袋の掛け替え作業を効率化。
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また、ナガノパープルは、成熟期に裂果がしやすく、収穫直前の降雨により一晩で台無しになることもある難しい品種ですが、
伊藤ぶどう果樹園では、完熟ギリギリまで樹上に生させ甘さを引き出します。
「まだ実をつける前、苗木の植え付けのときから、水分や栄養の取り方、スピードや力をコントロールできるよう樹に覚えさせることで裂果を防いでいる。」と伊藤さんは言います。
数年後にどんな実を生らせたいか、を考えながら毎年の手入れを重ねているのです。
品評会に継続して挑戦し、
高品質な葡萄を作り続ける
シャインマスカット
クイーンルージュ
クイーンニーナ
醸造用 龍眼
果樹園には、ナガノパープルのほか、シャインマスカット、2021年にデビューした長野県オリジナル品種「クイーンルージュ」、
そして「クイーンニーナ」が植えられています。いずれも種無しに育てる品種です。
ナガノパープルづくりで培った技術を惜しみなく生かすための戦略で、伊藤さんのナガノパープル、シャインマスカットは、農林水産大臣賞を始め、数々の賞を受賞しています。
伊藤さんは「受賞は通過点、品評会は客観的な評価を聞ける機会と考えています。一度の受賞は運の要素もあるので、エントリーし続けて品質を向上させたい。」と語り、「農業は大変というイメージを、楽しくて希望のある仕事にしたい。」という想いから、近隣で引退する農家からも園地を借り葡萄づくりを広げています。
<受賞歴>
ナガノパープル
平成29年〜30年:長野県園芸作物生産振興協議会長賞を連続受賞
シャインマスカット
平成28年に同協議会長賞、令和3年に農林水産大臣賞を受賞
完熟を迎えた葡萄を
その日のうちに出荷
伊藤ぶどう果樹園では、伊藤さん自身が食味をチェックし、仕上がった葡萄のみを早朝に収穫し、素早く梱包、その日のうちに出荷します。
特にナガノパープルは収穫直前に裂果しやすいため、一旦栽培を始めた人でも諦めてしまうこともある品種です。
だからこそ大事に栽培を続けていきたいという強い想いで、伊藤さんは毎年見事に裂果させず高い品質で出荷をやり遂げています。
「極上のナガノパープル」を究める伊藤秀樹さんの葡萄をどうぞお楽しみください。