年明けの青島みかんで有名な三ヶ日は
11〜12月の「早生種のみかん」も
美味しい
関東圏、中部圏に近い静岡県の大産地「三ヶ日みかん」栽培の始まりは、「紀州みかん」です。今から約300年前(享保年間=江戸中期)、三ヶ日町平山地区の山田弥右衛門(やえもん)が、西国巡礼の時に紀州那智地方から「紀州みかん」の苗木一本を持ち帰り庭の片隅に植えました。その後、100年ほど前に三ヶ日に入ってきた、種がない「温州みかん」が広まり現在に至ります。
土質は、中央構造線の南側にあたり、秩父古生層からなる赤土でミネラルを含んでいます。肥沃とは言えず、「やせた土地」です。しかし、生産者がきちんと世話をしながらコントロールすることで、高品質な締まった果実を生産することができます。
日本のみかん産地をみていくと、中央構造線は三ヶ日以外にも、和歌山、愛媛、熊本、長崎まで一直線に見事にみかん産地を通過しており、秩父古生層からなる土はみかん栽培に適しているとも言えます。
肥沃な土地では、果樹は熟すのが早いですが傷みやすい果実になります。やせた土地は、ゆっくり時間をかけなければ味が乗らないため、熟成に時間がかかる青島種のみかんに力を入れてきました。
三ヶ日は、そういった土の性質からも12月以降に収穫されるみかん栽培は適した土地なのです
出荷組合青年部の10名が作る
こだわりの【特選 早生みかん】
三ヶ日みかん 生産者の1人 後藤健太郎さん。
三ヶ日みかんは、年明けに特化した産地として有名ですが、11月〜12月中旬までに出荷される“早生みかん”も美味しいです。ただし、年明けの青島みかんと比べると早生みかんは生産量が少ないため、
早生みかんの多くは地元を中心とした東海地方の消費でなくなってしまいます。
地元では有名な早生みかんも、全国ではまだまだ知名度が低いのです。そんな中、
「三ヶ日の早生みかんは美味しいということを知ってほしい」という思いをもった、みかん出荷組合青年部(元青年部含む)10名がこだわりの【特選みかん】を作っている情報が入りました。
特選みかんの条件は
〇成績の良い指定園地に限定
〇マルチシート100%
〇糖度13度以上&酸度1.2度(時期により1.1度)以下
高い基準で栽培されていて、今期は少ないながらも12月上〜中旬に販売をしますので
是非お求めいただければと思います。
【特選】が収穫される「一級園地」
暗い?美味しいみかんの秘密です
後藤さんの園地は、朝日をたっぷり浴びる東向きの園地でした。
この写真は、2022年11月18日の15時過ぎに撮影しました。
山を背にして太陽が背中側にあり、まさにこれから日が沈みかけている状況で撮影したこの1枚。
これが毎年のデータ蓄積により、はじき出された「美味しいみかん」が育つ園地です。
日が短くなっている時期とはいえ、手前(西側)が暗くなり、遠く(東側)は日が差しています。これが朝になると逆になり、写真の手前(西側)は、他の園地より早く朝日を浴びることになります。
浜松市は日本でもトップクラスの日照量を誇ります。
しかし、単に太陽を多く浴びればよいわけではなく、早く起きて早く眠るサイクルが果樹にとって重要です。
マルチシート100%による栽培
糖度を高め、外観も美しいみかんを厳選
【特選】の園地は、マルチシートで水を切って栽培されます。
こうすることで、雨の侵入を防ぎます。果樹にストレスがかかりますが、小さく凝縮した糖度が高いみかんができます。
毎年成績が良い指定園地とはいえ、【特選】に選ばれるみかんは、この中から約10%程度しかないとのこと。糖度が13度以上と極めて高く、それ以外にも外観も美しいみかんが選び抜かれています。
こうして大切に育てられたみかんは、糖度が上がり適度に酸が抜けた12月に出荷されます。
AIで選別される三ヶ日みかん
2021年11月に新柑橘選果場が竣工
日本屈指の巨大選果場が新しくなりました。
収穫は早朝から行われます。収穫したみかんはそのまま選果場へ。
生産者はコンテナでみかんを持ち込みます。納品時間を分けて生産者が待たないような工夫がされています。
産者は車を降りることなく、自動で荷下ろし。負担を減らすことで生産者は、みかんづくりに専念できます。
まずは大きな傷は目視ではじかれます。機械ではじけないところも熟練の検査員の目が光ります。
その後、1玉1玉を検査するために、センサー選別にかけられます。
80mのレーンが24本も。圧巻です。
最新鋭のAIセンサーとカメラで1玉ずつチェック。
結果は即時に、詳細に自動判別されます。重量、傷、糖・酸度など全てデータとして出ます
等階級ごとに分けられて、自動で箱詰めされます。
積み込みも全自動。1日最大60,000箱も作られます。
三ケ日のトラックで全国の市場に届けられます