ブータン料理店ガテモタブン 代々木上原
世界一、唐辛子を使う
『ブータン料理』
在日ブータン人を虜にする家庭の味をお届けします。
第一弾は、モモとエヅェです。
モモは蒸し餃子。
エヅェは唐辛子でつくる独特の薬味です。

ブータン料理は唐辛子を
ふんだんに使います。
ブータン王国(通称ブータン)は日本人にはあまり馴染みのない国かもしれません。南アジアのヒマラヤ山脈の麓に位置し、北は中国、東西南はインドに接しているので中国料理やインド料理の食文化に類似しているものもあります。国の面積は日本の九州ほど。日本と同様に、お米を主食としています。
日本の沖縄から北海道までの気候分布が見られ植物相は非常に豊かで、近年は多品種の農作物が栽培されており、特に唐辛子の栽培は盛んで、さまざまな料理に野菜として使われています。ブータンでは小学校に入る前の小さな子どもでも日常的に唐辛子を食べています。こういったことから、ブータン料理は「世界で一番唐辛子を使う料理」と言われるようになりました。

日本のブータンのアマ(母の意味)と言われている渡辺千衣子さんです。
1981年に設立された日本ブータン友好協会の事務局長・渡辺千衣子さんは、ブータンの人々、文化、自然などをもっと知ってほしいと日本国内で活動を行っています。
今回、お料理をお届けする代々木上原のブータン料理店・ガテモタブンの創業メンバーの一人であり、メニューやレシピは渡辺さんがブータンで食べた家庭料理をもとに作られています。食材の用い方や味付けなど、ブータン料理を忠実に再現しています。その味は日本人向けにカスタマイズされておらず、日本を訪れるブータン人も驚くほどの本物のブータン料理です。


シンプルな食材を
組み合わせたブータン料理
エマダツィは、ブータン人にとっての国民食です。生や乾燥の唐辛子とチーズを煮込んだものです。つまり、日本のみそ汁のようなもの。味付けは塩です。ブータンでは、これさえあればご飯が食べられるといわれています。出汁を使わず、唐辛子とチーズを煮込むことで旨みを引き出すのが特徴です。
もう一品、パクシャパはブータンの御馳走となる肉料理です。豚肉、大きな乾燥唐辛子、大根などと煮込んだものです。こちらも味付けは塩。ブータン料理の味付けは基本的に塩だけなのです。


ブータン料理店
「ガテモタブン」
ガテモタブンは2006年に日本初のブータン料理店としてオープンしました。
ブータン料理は素材がシンプルなため、作り手によって味が左右される料理です。
ブータンで食べる料理の味を再現するため、乾燥唐辛子と山椒などはブータンから取り寄せ、生の唐辛子は、ブータン産のほかに、ブータンと同じ品種のものを日本で栽培しています。
ブータンの山椒は中国の花椒や日本の山椒とは香りが異なり、爽やかさが引き立っています。

ピリッとさわやかな
山椒の痺れが特徴の「モモ」
モモはチベット、ネパールなどでも食べられている蒸し餃子です。ブータンではおやつとして、またお祭りなどのハレの日に楽しむ料理として親しまれています。
ガテモタブンのモモは、豚肉と玉ねぎの餃子です。味付けは、ブータン産の山椒、生姜、塩だけ。玉ねぎの甘さと山椒のピリッとしたバランスが絶妙です。エヅェというブータンの薬味をつけて食べることで辛みと旨みが増して、さらに美味しくなります。

素材にこだわっています
モモはとってもシンプルな素材で作られます。そのため、ガテモタブンでは1つ1つの素材にこだわっています。国産の豚肉をミンチにし、ブータン産の山椒を使っています。山椒は風味が強く残るよう、調理する直前に細かく粉砕しています。 皮は山梨県甲府市の三沢製麺に特注しています。恵まれた水質に最高ランクの小麦粉、室戸沖の海洋深層水塩を使用し、つるりとした食感が楽しめます。

手包みしています
包み方は皮の重なり部分が気にならないよう、形を工夫して1つ1つ手包みしています。

セイロ蒸しがおすすめです
ブータン餃子モモによく用いられている調理法が蒸しです。モモはセイロ蒸しがおすすめです。
冷凍便でお届けしますので、解凍せずにそのまま12〜15分ほど蒸してください。

辛さと旨味の「エヅェ」
エヅェは、ブータンの各家庭に秘伝のレシピがあるといわれているほど、ブータンではなじみの深い、薬味であり、野菜料理でもあるそうです。ブータン人にとってエヅェは日本の漬物のような感覚の存在です。

手間をかけて丁寧に作る
「エヅェ」
エヅェは乾燥唐辛子、塩、油が基本の素材で、この3つはどの家庭でも使われています。ガテモタブンでは、これらに玉ねぎと山椒を加えています。にんにく、コリアンダー、トマトを入れる家庭もあるそうです。
作り方は、玉ねぎを油で2時間ほどしっかりと炒め、ブータン産の粉唐辛子と山椒をゆっくりと火にかけながら練りあげます。唐辛子はダシのような旨みがたっぷりです。辛いだけではありません。

モモとエヅェは相性抜群です
モモの豚肉の脂と玉ねぎの甘さとエヅェの辛さと旨味が口の中で順番に感じられ、とても相性がいい味わいです。
エヅェはとても辛いので、くれぐれもつけすぎないよう注意してください。今回エヅェは20gお届けしますが、余ったら冷蔵庫で保管し肉料理に合わせるのがおすすめです。
文:大村 花恵
撮影:八木澤 芳彦

Gatemo Tabum(ガテモタブン)
東京都渋谷区上原1-22-5 1F
TEL 03-3466-9590
営業時間
ランチ 11:30-14:00(土日祝-14:30)
ディナー18:00-22:00(L.O.21:30)
月・火曜休み