
レストラン・
ミッシェルナカジマ
白く美しいコハク玉ねぎの
冷たいポタージュ

砂糖を使わずに、つなぎコハクたまねぎの甘さをじっくりと引き出し、自然な甘みを味わえるコクのあるスープに仕上げました。
玉ねぎのおいしさがストレートに伝わるポタージュは、何よりも玉ねぎの品質が大切です。玉ねぎの甘みやうまみを、他の食材でいかに引き立てることができるかが肝心です。じっくりと丁寧にソテーし、白く美しく仕上げます。
生でもおいしい鮮度抜群の
サラダ玉ねぎを使用

玉ねぎと一口に言っても、日本だけで数十種類あります。その最大の産地は北海道です。北海道の玉ねぎは「もみじ系」の品種が中心で、貯蔵性に優れ、スーパーを中心に長期間流通します。
玉ねぎは切ると涙が出て辛いというイメージがありますが、それがこの「もみじ系」の品種です。それとは別に、甘くて辛みが少なく、サラダに適した品種もあります。総じて「サラダ玉ねぎ」と呼ばれています。生でもおいしいこのサラダ玉ねぎは、火を通すとさらに甘みが増し、玉ねぎ特有の繊維質がほとんどなく、とても滑らかな食感で、ポタージュに最適です。
ポタージュのために生まれた?
熊本のブランド玉ねぎ
「つなぎコハク玉ねぎ」

左から坂口優弥さん、中嶋シェフ、林田直也さん
そのサラダ玉ねぎの中でも特筆に値するのが、全国シェアはほんのわずかな、とても小さな産地・熊本県南の津奈木町で栽培されている「つなぎコハク玉ねぎ」のおいしさです。僅か1か月半ほどしか流通しません。
鹿児島に近い津奈木町は温暖な気候に恵まれ、海からの風に乗ってミネラルが畑に降り注ぎます。畑一面にはマルチシートが張られ、土づくりには地元酒蔵の酒粕を養分として活用。シート内で栄養分がゆっくりと堆積され、微生物が活性化することで、土はふかふかで柔らかくなります。
数ある品種の中でも最もおいしいと生産者が語る(※品種名は非公開)特別な品種だけを、化学肥料や農薬の使用も通常の半分ほどに抑えながら、時間をかけてじっくりと育てています。
バターをたっぷり使って、
玉ねぎの甘さを引き出します。

無塩バターをたっぷりと使います。
玉ねぎには硫化アリル系の刺激的な香りがありますが、たっぷりのバターで丁寧にじっくり炒めることで、甘くやわらかな香りへと変化していきます。
少しでも焦がしてしまうと、この白いポタージュの価値は失われてしまうため、大きなヘラでかき混ぜながらソテーしていきます。
しばらくすると、玉ねぎから水分が出てきます。
玉ねぎから自然に出てくる甘いスープ

このポタージュの水分のほとんどは、玉ねぎから自然に出てくる甘いスープです。
ある程度水分が出てきたところで、小麦粉を加え、玉ねぎにとろみをつけてポタージュ状にしていきます。
一度出てきた水分を小麦粉が包み込み、全体がさらにまろやかになっていきます。
チキンスープを加え、なめらかでコクのあるポタージュに

きれいに掃除した鶏ガラでとったスープを加え、ヘラでかき混ぜながらさらに煮込んでいくと、玉ねぎの繊維が崩れ、全体がとろりとまとまり、生成色のポタージュへと変化していきます。
このくらいになったらミキサーにかけてペースト状にし、さらにシノワで漉すことで、とても滑らかなポタージュになります。

少しの生クリームとミルクを
入れて完成です

コハク玉ねぎは非常に甘いため、本来使用する砂糖は加えていません。少量の塩と生クリーム、ミルクを加えて味を整えれば完成です。
玉ねぎのやさしい甘みに、バターの風味とミルクのまろやかさが重なって、ふくよかな味わいに仕上がりました。とてもなめらかで、白く美しいポタージュです。
文:井上真一
写真:八木澤芳彦

袋のまま水に入れ解凍するか、冷蔵庫で一晩かけて解凍してください。解凍後は袋をよくもみほぐし、お皿に盛り付けてお召し上がりください。
※よくもみほぐすことで、なめらかな口当たりになります。
また、袋のまま湯煎で約8分温めても、おいしく召し上がれます。