圧巻のうまさと香り
江戸前ちば海苔
江戸前は海苔の本家本元
海苔が好む、冬の江戸前の海とお日様と努力を惜しまない漁師と加工場が、素晴らしい海苔を生む。
新芽が多いから口溶けが良い!故に香りもうまみも際立つ。数千通りもの絶対評価の等級で海苔を格付け後、入札。自らに課す厳格ルールが、江戸前ちば海苔 高品質の証。
当初、江戸の食文化の全ては、上方から下ってきたものが基本だった。そんな上方スタンダード時代、上方に江戸から伝わった最初の食文化が海苔。江戸前の豊穣の海と浅草の紙すき技術の両者が相まって海苔が生まれ、将軍家への献上品となり、江戸前海苔は一大産業に発展した。つまり、海苔の本家本元は江戸前である。
東京産の海苔は消滅
江戸前と言えば千葉県産の海苔
かつて日本一だった東京産の海苔は、昭和38年に消滅。現在、江戸前海苔と言えば、ほぼ千葉産のみで、その歴史は長い。江戸寛永年間(1624年〜43年)、江戸の海に設置した生簀に海苔が付くことからヒントを得て、ヒビ立てによる養殖が始められたと云われている。その起源は、品川とも大森とも隅田川河口付近とも言われているが、諸説あり定かではない。大森の海苔は「御膳海苔」と呼ばれ、将軍家への献上品で、江戸初期から中期にかけて、海苔は大変に高級なもので、庶民の口に入るものではなかった。
四谷の海苔商人、近江屋甚兵衛は、1821年、54歳の時、江戸川河口の浦安、養老川河口の五井、小櫃川河口の木更津の村々に、海苔養殖を説いて回ったが、ヒビ立てにより海が荒れることを理由に相手にされず、知人の紹介により小糸川河口の人見村(現在の君津市)の名主守八郎右衛門の協力を得て、文政5年(1822年)に海苔の養殖に成功した。上総海苔の誕生である。その後、海苔養殖は隣接する大堀村、青木村、西川村(現在の富津市)、坂田村(現在の君津市)などに広がり、江戸市中に販路を拡大した。文久3年(1863年)には、上総海苔の販路拡大に脅威を感じた、大森の御膳海苔場仲間に訴訟を起こされ、御膳海苔上納前の江戸市中での販売を停止されている。
明治に入り、大堀村の平野武次郎は、海苔の種がつきやすい場所にヒビを設置して海苔を採苗し、河口よりの栄養分の多い場所に移植することで、生産性の向上と安定化に成功し、「篊建移植法(ひびだて いしょくほう)」を確立した。当初はこの「移植法」は秘伝とされたが、明治30年(1897年)に発表され、広く普及し、 大正3年(1914年)には大正博覧会で金牌を受賞した。昭和40年代、現在の袖ヶ浦市に位置する奈良輪地先で、特に成長が優れた養殖品種「ナラワ(奈良輪)スサビノリ」が発見され、全国に普及した。※現在、日本で養殖されている海苔の品種のほとんどは『ナラワスサビノリ』
江戸前ちば海苔が
何故素晴らしいのか?
最高の味と香り、さらに口溶けの良さが千葉の海苔生産者のこだわり。江戸前海苔が育つ冬の東京湾は穏やかで、晴天に恵まれるので、海苔にとって素晴らしい環境にある。特に『こまめに養殖網を交換する』ことで、海苔の新芽が採れる回数が多いのも、江戸前の千葉海苔の魅力だ。豊富な栄養と清らかさを兼ね備える東京湾で育つ海苔はうまい。関東平野の多くの河川が流れ込む東京湾は、海苔が必要とする栄養に恵まれる。冬の透明度が高い海面近くの養殖網で育つ海苔は、盛んに光合成をして、海苔に豊かな旨味(アミノ酸)を蓄積する。一方で、鴨や海面近くに生息する草食性の魚による食害も多くなるから、最高の品質を追求する一方で、収穫量は犠牲になることになる。この量より質へのこだわりが、長年、千葉海苔の日本一レベルを支えてきた。
究極の海苔 江戸前の
初摘み青混ぜ海苔
最高レベルの黒海苔に上質な青海苔(キヌイトアオノリ)が混じることで、口溶け最高にして、黒海苔の香りに、青の磯の香りが加わった海苔になる。うまさに、微かなほろ苦さが混じる特別な海苔だ。計画して出来るものではないので、初摘みの青混ぜ海苔は、多くとも、数万枚と数が非常に少なく、食通垂涎の逸品だ。日本酒の肴としても究極レベルだが、磯辺焼きにすれば餅の甘さとの合わせ技は絶品と言っても過言ではない。本当にうまい海苔、香り高い海苔は、口溶けが良く、何も味付けしなくとも美味だ。既に、本当にうまい海苔を食べた事ある日本人は珍しいと言っても過言ではない。何故なら、一般的な海苔販路(量販店やコンビニなど)では、安い海苔しか置いていない。だから、一般的には本当に質の高い『江戸前 ちば海苔』は入手困難だ。消費者がうまい海苔を知らなければ、お金を出して上質な海苔を買うはずもない。結果として、高い質を追い求めてきた千葉産の海苔は苦戦している。上質な海苔を作っても、その価値が伝わらない。味や香りや口溶けよりも、見た目を重視の流通が、漆黒で艶艶の海苔が良いと思う消費者を増やしたのも事実だ。
年によって違うが、全国の海苔生産は70億枚〜80億枚。その内、江戸前ちば海苔が占める比率は3%前後。さらに、最高にうまい江戸前の黒海苔は江戸前海苔の1%にも満たない。最高等級の青混ぜ海苔に至ってはさらに、その10分の1あるか否か。海苔のアミノ酸構成比率は日本人が一番美味しく感じる比率に近いので、まさに日本人のソールフードと読んでも過言ではない。特に稲作の普及と白米食の一般化により、ご飯+海苔=日本人の魂に響く美味!本当に美味しい米を食べたことある人はそれなりにいるだろうが、本当に美味しい海苔を食べてことある人は非常に少ないだろう。栄養的にも優れ、機能性の研究が進めば、海苔は凄いパワーの持ち主であることも証明されるだろう。海苔の本家本元 『江戸前 ちば海苔』で日常の食の贅を極めるのも幸せだと思う。