産地一体となって美味しさを生み出す
蒲郡の多様な柑橘
一面に広がる栽培ハウス
愛知県蒲郡市
一般的なみかん産地と違い、この地には温室ハウスが建ち並んでいます。
このハウスの中で様々な柑橘が育てられているのです。
この地でのみかん栽培の歴史は300年以上と言われていますが、明治時代は養蚕業のために桑畑が中心でした。昭和初期の世界恐慌により日本の繊維産業は縮小を余儀なくされ、当時の政府はみかん畑への転向を奨励し、全国でも多くの桑畑がみかん畑に変貌しました。
蒲郡もそんな産地の一つでしたが地域の目揃えや品評会などで地域を挙げて品質向上に取り組み一目を置かれていました。
そんな産地に転機が訪れたのが昭和40年代。全国に多くのみかん産地が乱立し、みかん価格の大暴落に至ったのです。常に高級みかんを作り続けてきた蒲郡は大変な痛手を受け、「このまま安いみかん競争に巻き込まれてはならない」との思いから夏場の「ハウスみかん」への挑戦を始めたのです。
ハウス栽培のパイオニア
ハウス内で春夏秋冬を疑似的に作り出し、
秋に花を咲かせて夏に収穫をする、とてつもないチャレンジでしたが、
300年かけて学んだみかんのノウハウを駆使することで、なんとか実を結んだのです。
蒲郡みかんは市場に大きく評価され、露地栽培みかんが122円/kgに対してハウスみかんは692円/kgと実に5倍以上の価格を実現し、独自性を生み出しました。(1978年のみかん単価。参考:三河湾沿岸みかん栽培地域の変容/牧野明氏)
蒲郡が受け継いできた高い技術によって生まれるハウスミカンは、
濃厚でコクがあって美味と評判を呼び、夏のギフトに欠かせない果物となりました。
様々な柑橘への挑戦
そんな一大産地が今取り組むのが、様々な柑橘へのチャレンジです。
2010年頃からしらぬひ(デコポン)が登場。
築地市場(当時)でも「あの蒲郡がデコポンを作ったぞ」と話題になりました。
その美味しさは濃厚でとろけるようで、ハウス栽培を活かした完熟栽培により蒲郡のみかんは新しい段階に入りました。
地域一体の多品種戦略
デコポンをはじめ、せとか、はるみ、カラマンダリン、あすみ… などなど。
蒲郡では数々の柑橘への挑戦を行っています。
名人など個人による樹熟栽培や複数品種の栽培などはありますが、産地一体となって複数の柑橘を高レベルに仕上げてくるのは、日本では蒲郡だけといっても過言ではありません。
「柑橘の楽しさ」と「技術力」、加えて「おいしさ」で蒲郡ブランドを形成します。
収穫された柑橘は人と機械が厳密に選果
複数の柑橘で高い品質を維持するには、柔軟に対応する人と品質を厳密に見極める機械の両者が揃って実現できることです。
見た目や重量、センサーの設定にしても品種によって違うため、ここまでの取り組みが一貫して実施できている産地は他にありません。
蒲郡自慢の柑橘を召し上がってください
濃厚で香り高い柑橘や、さわやかで果汁が抜群に多い柑橘、みかんのように楽しめる新柑橘など
蒲郡の柑橘は、どれも個性が引き出されていて美味です。
ぜひ複数の種類を食べて、柑橘の奥深さ、そして蒲郡の生産者さんたちの技術・愛情をお楽しみください。