伊豆諸島の焼酎づくり発祥の地・八丈島
創業大正14年
坂下酒造の焼酎
八丈島は東京の焼酎の発祥の地。伊豆諸島の中でも最も多くの酒蔵があります。
坂下酒造は大正14年に創業。前任の杜氏が亡くなり酒造りは一時中断したものの、2021年1月に再開しました。
島内でも最も小さいクラスの蔵で、少ない量で丁寧に仕込みます。全国的にも珍しい麦麹に芋を主原料として焼酎と、麦麹に麦を使ったものとをブレンドして作られた「黒潮」を中心に製造します。
(写真:八丈島にある坂下酒造)
鹿児島にルーツを持ち
八丈島から始まった
東京の焼酎「島酒」
東京都は全国6位の330もの島を有する意外と島の多い地域です。人口の大半は大島や八丈島がある伊豆諸島に集中し、この地で東京の島文化が作られました。
東京の島々には島ごとの個性をもつ焼酎(島酒)があります。
その由来は、1853年八丈島に流刑となった鹿児島の商人・丹宗庄右エ門(たんそうしょうえもん)が、この地で栽培されていた芋と麦(麦麹)を用いて、焼酎造りを始めたことに端を発します。
その焼酎の蒸留方法は周りの島々にも伝わり、そこから更なる変化を経て各地の「地酒」となり島ごとの個性が生まれました。米が貴重な作物であったため代替として麦麹を用いる製法が根付き、“麦麹で仕込む芋焼酎”という全国的にも珍しいスタイルが定着。麦麹特有のさわやかな香りと芋の旨味のバランスに優れた味わいが島の焼酎の特徴となっています。
坂下酒造を引き継いだ
沖山範夫杜氏
坂下酒造で杜氏兼代表を務める沖山範夫氏は、東京で飲食業に関わった後2000年頃から八丈島にあった別の酒蔵・磯崎酒造で修業を積みます。九州でも住み込みで焼酎造りを学ぶなど、様々な焼酎造りを経験した後、縁あって坂下酒造を受け継ぐことになります。
坂下酒造の中心となる焼酎「黒潮」は、麦と芋のブレンドによる香ばしく甘みのある味わいが魅力です。この黒潮の味に惚れ込んで坂下酒造の杜氏となった沖山氏ですが、この味を受け継ぎつつも次の時代の新焼酎造りを始めています。
まずは坂下酒造専用の芋で作った焼酎を造りたいと、地元の農家に頼んでその作付けから行います。目指すは「どっしりとした骨太の味わいの焼酎」です。数年後には坂下酒造の新しい味ができていることでしょう。
坂下酒造を代表する焼酎
「黒潮」
『黒潮』は、白麹を使用し、常圧蒸留した二条大麦とさつま芋のブレンド焼酎です。
かつては乾燥芋を使った独特の個性(癖)を持つ焼酎だったそうです。時代は焼酎ブームを迎え、前任の杜氏がもっとしたしみやすい味へと芋焼酎に麦焼酎をブレンドした今の形にします。
麦の香ばしさとやわらかい芋の甘みが特徴で、2020年東京国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞しています。あらかじめ水で割ったものを温める「前割り」がおすすめの飲み方。麦の香ばしさがより感じられます。
貴重な2種類の焼酎
ジョナリーと黄八丈
八丈島・坂下酒造の焼酎をどうぞ!
2021年に坂下酒造を引き継いだ沖山氏。修業を積んだ磯崎酒造の黄八丈の復活と、独自の味わいの新しい焼酎造りを目指しています。
東京都心の南約290kmに位置する八丈島の自慢の焼酎をどうぞ!