和歌山県有田産 田村みかん
畑さんのとっておき
「瀬戸温州(せとうんしゅう)」
和歌山県有田郡湯浅地区に400年続くみかんの名産地、田村出荷組合。
なかでも腕利きと名高い畑拓志さん(屋号 畑利)がとっておきの「瀬戸温州(せとうんしゅう)」を紹介してくださいました。
もともと田村出荷組合のみかんづくりは
味の濃いぎゅっとした小玉サイズ(2S-M)が中心です。
しかし、畑の一角にはひときわ目立つ
やや大玉で扁平型、色も特に濃い…そんなみかんがあるのです。
これが畑さんの「瀬戸温州(せとうんしゅう)」です。
話を伺うと、
杉山温州にトロビタオレンジを受粉させた珠心胚実生から選抜された興津試験場の品種
これは、少しみかんに詳しい方ならおっ!となる流れです。
温州みかんとトロビタオレンジといえば、あの「清見」の掛け合わせと同じ(※1)です。
また、現在全国で圧倒的なシェアを誇る温州ミカン「興津早生」を生みだした西浦昌男氏が、同じ手法(※2)を用いて当時育種選抜をし、品種登録したものだといいます。
つまり、「瀬戸温州」は「興津早生」と同じ西浦氏の肝いり品種だったのです。
(※1)清見の交配に用いられた温州みかんは興津早生
(※2)精胚実生の生育の妨げになっていた、珠心胚実生が持つ突然変異しやすいという性質を逆手にそこから選抜育種する手法。
酸味は穏やか、豊かな甘さが親しみやすい!
オレンジのような軽やかな香りがあります。
酸味は穏やかですが、メリハリの無い味ではなく、
むしろ、とても豊かな甘さが際立っています。
果肉はくずれるように程よくジューシー!親しみやすく、すごくおいしいです。
ではなぜ、畑さんのところに?
瀬戸温州が農林認定品種(現在の品種登録)として登録されたのは1971年。
約50年前です。しかし、現在も全国ではあまり見かけません。
この美味しさを持つ品種であれば、もっと全国へ広がっていてもおかしくありません。
瀬戸温州についてこのように記載が残されています。
降雨の少ない地域で果実の糖が多く酸が少ない特性をよく発揮する。肥沃地よりも傾斜地がよく、雨の少ない地帯で樹勢も落ち着き、果実の品質もとくにすぐれている
瀬戸温州は雨が少なく、急斜面の畑でその美味しさを発揮するのです。
急斜面のみかん産地は全国に数多くありますが、降水量が特に少ない和歌山県有田地域の畑さんの圃場は
瀬戸温州と抜群に相性が良く、美味しいみかん(柑橘)として作り続けられていたのです。
今まではこだわりの八百屋さんが全量おさえていた。
瀬戸温州はお父様の代のころに樹を増やしたいといいます。
実はこの瀬戸温州に惚れ込んだ八百屋さんがいて昨年までは全量買い取ってくれていた、といいます。
しかし、その方もお年を重ねて扱い続けることが難しくなりました。
少量品目というのは、流通・販売時に少し手間がかかるため、扱いにくさもあります。
自信をもってお薦めします。
そこで、はみ出しもの、マニアックな品種の販売を得意とする当店にご縁が繋がれたのです。
柑橘好きの皆様へ
畑さんのとっておき「瀬戸温州(せとうんしゅう)」をお届けします!
お正月までのこの時期が一番美味しいみかん(柑橘)です。数量限定品です。
食文化:鈴木 愛理