筋子の起源“母船子”を
彷彿させる味わい
デンマーク産
トラウトサーモンの塩筋子
母船式サケマス漁業の船内で
作られていた母船子
明治から昭和にかけて盛んに行われてきた母船式サケマス漁業。船には、缶詰や塩蔵設備が整っており、漁獲した魚はすぐに加工に回されます。基本的には、塩鮭を作っているのですが、中には卵を抱えているメスも混じっています。ここで作られる筋子は、「母船子」と呼ばれ、特に函館、青森、秋田では高値で取引されていました。しかし、太平洋戦争により漁船などの用意が難しくなった母船式サケマス漁業は勢いを失いました。終戦後、昭和27年に北洋漁業は再開し、アリューシャン列島付近の公海を操業。昭和30年にはオホーツク海にも出ていましたが、日ソ漁業条約により、禁漁区が設定され操業規模は縮小。 さらに、昭和51年にソビエトが沿岸200海里を漁場専管水域に指定し、母船式サケマス漁業の経営は年々厳しくなり衰退していきました。
良い筋子を作れる地を求め
ヨーロッパへ
母船子が幻となり、塩蔵品を生業とする企業は、鮭養殖の盛んなヨーロッパへ。フィンランド、スウェーデン、ノルウェーを回り、筋子作りを行いました。ノルウェーでは、卵より身に価値があるため、良い卵を取ろうすると、栄養が全て卵に集まってしまい身が悪くなり、逆に、身を優先すると卵が未熟で、目的とする筋子にはなりません。そこでたどり着いたのが、デンマークです。
厳重な資源管理のもと育つ
健康的なデンマークのトラウトサーモン
デンマークでは、国を挙げてトラウトサーモンの養殖における資源管理を行っています。清潔で環境下で育つため、健康的で安全なトラウトサーモンが生産されます。
日本人の職人が分業で作ります
現地では、水揚げ後の卵の選別から、熟成まで職人が各自1つの工程に張り付き、分業で筋子を作ります。
1.
腹から卵を出して、選別
鮭の水揚げがある港から車で5分程の場所に工場はあります。
毎朝6時頃に鮭が運ばれてきます。直ぐに腹から卵を出して、選別を行います。
大きさで1〜3等級に分類され、黒ずんでいるもの等ははじかれます。
2.
飽和塩水で撹拌
1回目に卵に塩を入れる工程です。大きな樽に飽和塩水を張り、撹拌しながら、卵の張りを見て次の工程に移ります。
3.
1週間かけて塩漬けして熟成
等級毎にペールを分け、塩漬けにします。ヒーターで室温が18〜20℃になるよう管理。ペールの上に重石をして、余計な水分を抜きます。最後に職人が手で触って確認。OKが出れば完成です。
北海道、東北人が愛する味
卵の旨みがしっかり感じられます
塩分濃度は推定値で1〜3%の甘口です。 熟成された卵は旨みが引き出され、まったりとして濃厚です。嫌な臭みもまったくありません。 母船子時代から筋子を愛する北海道や東北人にも好まれる味わいです。 熱々の白米、おむすびでお召し上がりください。青森県では、細巻きにする「筋子巻」もあります。