活き締め、捌きたてを市場から直送!
鮨屋の味に近づく!
ふわりとろける煮穴子を
究めるには。
豊洲市場で真穴子の旬と言えば、入荷量も多い6〜8月。「梅雨穴子(夏穴子)」と呼び、淡泊でさっぱりとした味わいが特徴です。
もうひとつ挙げられるのは10〜12月頃の「冬穴子」。産卵のために栄養を蓄えた身は脂が乗り、コクがあります。但しこの時期に漁を行う地域は少なく、長崎県対馬産の穴子が名を馳せます。
私たちは、豊洲市場でその時々に脂が乗った活の天然の真穴子を目利きが厳選し、捌いた当日に出荷します。
鮮度抜群な穴子を粋に味わってください。
穴子の旨さは、「活」だからこそ
穴子はにょろにょろ動く「活き」で市場に入荷し、死んでいるもの(市場では「あがり」と言う)は価値が落ちます。価値が落ちる理由は、臭みが強く出るから。鮨屋は活きの状態で仕入れて自分で捌くか、その場で仲卸に捌いてもらうかします。
活きの穴子を使う理由がもう1つあります。鮮度が悪いと煮た時に身がふっくらしません。鮮度の良い穴子を煮ると身が膨らみ、ふわっとした食感が生み出されます。あの鮨屋が作る、ふっくらとろとろの穴子を作るには、活きの穴子がまずは必要になります。
ちなみに、魚は大きいものの方こそ脂が乗っておいしいとされていますが、穴子はそうではありません。大きさに関わらず脂がのるものは乗り、痩せているものは痩せています。
「何に使うか」で大きさを選びましょう。寿司なら小さいものが良いです。
鮨屋で出てくるふわりとろける
煮穴子を家で作りたい
厳選した穴子は捌く・洗う・煮る・冷ますという工程を経て煮穴子となります。 その流れの中で重要なポイントは「鮮度の良い穴子を手に入れる」こと。 家で作るならば、「徹底的にぬめりを取ること」こと、「低温でゆっくり煮る」ことを押さえると上手くいきます。このふたつは店によって意見が様々。“ぬめりは旨み”と、取らない職人もいます。
鮮度の良い穴子を手に入れる
今回は豊洲市場の仲卸山治で穴子を担当する平沼良三さんが、その日その日で産地や魚体サイズを選りすぐり、活〆、捌きます。良三さんは、1日に多い時で340kg、1,000匹を優に越える穴子を捌き続ける職人。その丁寧な仕事に、東京をはじめ各地から注文が途絶えないと山治スタッフからの評判も高いです。鮮度が命の穴子。鮨屋に渡すのと同様に、出荷日当日に捌いてお届けします。
徹底的にぬめりを取る
この工程を怠ると、泥臭さを感じる原因となります。やり過ぎかと思うほど、しっかりぬめりをとってください。
低温でゆっくり煮る
煮るのは簡単です。煮切った酒と砂糖、水、醤油に塩を少し。甘さを抑えたい場合は少し水を多めにします。 煮汁に落とした際、急激に縮むのは鮮度の良い証。この大きな縮みが、ふっくらと豊かな身肉の厚みとなります。 中蓋をして沸々と弱火で20分〜25分煮れば完成です。グツグツさせると煮崩れてしまうのでご注意ください。
穴子は酢飯との相性が良い
そのまま召し上がるのもよし、ご飯にのせて丼にしたっておいしいのですが、穴子は酢飯との相性が抜群です。握りに限らず棒寿司でも。酢飯の酸味と甘さが穴子にもよく合います。
鮨屋は穴子を握る際、腹側上半身は皮目を上に、下半身は身肉を上にして握ります。これは穴子に火を通すとそのように身肉が反り返るためで、結果的に握りやすいです。是非お試しください。
鮮度抜群な穴子を粋に味わってください。
文:㈱食文化 田賀ひろか