茨城県鉾田市でメロン栽培一筋45年以上
白井一夫さんの
ゴールドメロン
昭和21年生まれの白井一夫さんは、メロン栽培のプロ。メロンの大産地である茨城県の中でも、鉾田市は主力産地です。幹線道路沿いにはメロン直売の旗がひしめき、右も左もメロン直売所が並びます。シーズンには観光バスが何台も連なって入ってきます。
白井さんは、いっときは道の駅に並ぶメロンの9割方を一人で請け負っていたほどで、高い品質と生産量を約束する生産者でした。
撮影:2024年6月26日
農作物は生き物。
口で教えるだけでは、栽培は出来ない。
果皮が黄金色のその名も「ゴールドメロン」。あまりにも栽培が難しいため、種苗会社が白井さんに試作の種を託したほどです。
ゴールドメロンの栽培を確立するにあたり、プロの白井さんでも5年以上かかったと言います。
「口で教えてできるものじゃないんだ。やり方が違うんだよ。一緒に手取り足取り教えなければ、このメロンは栽培できないな。」
植物はしゃべることができません。暑い・寒い・水が欲しいなどの判断は、葉や果実の状態をみて分かる人でなければ栽培ができません。
畑に植えておけば勝手にできるものではなく、毎日の世話が必要なのです。
過去には、夜間の低温で玉が割れて、全滅に近い状態になったこともあったそうです。
収穫は、糖度17度が出てから
糖度15度が出ても、果肉が仕上がるまでじっくり待ちます。
美味しいメロンを作るには、水を与えすぎないことが大切と、白井さんは言います。しかし、水分が少なすぎれば苗が弱ってしまうため、毎日の状態を見て、微妙な調整を繰り返すのがプロです。
園地を訪問した日、約一週間後に収穫が迫ったメロンの糖度を計測すると15度が出ました。糖度15度は、収穫するにしても文句なしの糖度です。
「2〜3日で糖度は1度あがるから、一週間後にはちょうどいいね。自分の畑は糖度17度を目安にしているから」
糖度が高くても完熟ではありません。完熟させれば糖度18〜19度になりますが、日持ちを考えると少し硬い位で届けたほうが、お客様が長く楽しめるという考え方です。
「過去最高に美味しい!」との声もあります。
今後も美味しいメロンを期待してます!
高齢になった現在も、奥様と二人、メロン栽培の現役です。
一時はメロンだけで8反を栽培していましたが、休みなく重労働が続く農業は本当に大変。現在は最盛期の1/3ほどに生産量を落としています。
「メロン作りはたくさんやったから、もう悔いはないよ。」と白井さんは言いますが、
白井さんが栽培をやめたら、ゴールドメロンは消えてしまいます。
「過去最高に美味しいとの声もあります。お客さんも期待してますから、これからも頑張ってください。」と伝えると、とても嬉しそうでした。
日本の農業は、後継者問題が深刻です。美味しい農作物は、お金さえ出せば食べられるわけではありません。大変でも、手間暇をかけて作ってくれる生産者がいてこそです。これからも美味しいメロンを期待しています。