カーボンニュートラルとは?
概要や実現の必要性、
「食」との関わりを解説

近年の気候変動は、“気候危機”とも呼ばれるに深刻化しています。日本を含む世界の国々は、気候変動を解決する取り組みとして「カーボンニュートラル」の実現を目指しています。
このページでは、「カーボンニュートラル」と私たちの生活と密接する「食」との関わりについて説明します。
カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収・除去量を差し引き、プラスマイナスゼロにする取り組みです。温室効果ガスは、主に二酸化炭素(CO2)やメタンガス、フロンガスを指します。
それらの温室効果ガスの排出量を一切なくすのは、現実的ではありません。そこで、温室効果ガス全体の合計量を実質ゼロにする方法を策定しました。
カーボンニュートラルの実現には排出量の削減に加え、吸収量を上げるための森林強化が重要です。
現在、日本を含む125ヶ国と1地域が「2050年までのカーボンニュートラル実現」を表明しています。日本は2020年10月に表明し、2030年の温室効果ガス排出量について、「2013年度比で46%の削減」を目標にしました。
なぜ
カーボンニュートラル実現が
必要なのか

地球温暖化を解決するためにはカーボンニュートラルの実現が必要です。気象庁の統計 (※1)では、統計開始の1898年以来、日本の年間平均気温は1℃以上も上昇しました。同じく世界の平均気温も1℃以上も上昇 (※2)しており、豪雨・猛暑・海面上昇といった気候変動の原因の1つとされています。
実際に、近年の日本は大雨が増加し、洪水や土砂災害が頻発しています。2012〜2021年の10年間における1時間降水量50mm以上の雨の回数は、統計開始10年間である1976〜1985 年に比べて約1.4倍に増加(※3)しています。また、2018年の土砂災害は3,459件発生し、過去最多となりました(※4) 。
気候変動は農作物や自然生態系への影響も予測され、このまま地球温暖化が進めばさらなる地球環境の悪化を招くかもしれません。地球温暖化の一因と考えられている温室効果ガスを減らすべく、カーボンニュートラルの実現が求められます。
※1 出典:気象庁「日本の年平均気温」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
※2 出典:気象庁「世界の年平均気温」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
※3 出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
※4 出典:国土交通省「国土交通白書 2020」
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1115000.html
カーボンニュートラルを
実現するための取り組み

カーボンニュートラルの実現を目指し、日本政府は国・地方脱炭素実現会議にて「地域脱炭素ロードマップ」を策定しました。各地域が主体となり、地方の経済活性化にも貢献する「地域脱炭素」の工程を示しています。具体的には、住宅の省エネ性能向上、太陽光発電の拡充、再生可能エネルギーやデジタル技術の活用といった施策を挙げています。
さらに、同ロードマップでは、2030年までに脱炭素先行地域を全国100ヶ所以上に作り、他の地域へ伝播していく「脱炭素ドミノ」を掲げました。2050年を待たず、早期のカーボンニュートラル実現を目標としています。
一方、民間企業でも、カーボンニュートラルに向けた動きが活発化しています。たとえば、自動車メーカーは二酸化炭素等 を排出するガソリン車から、電気自動車(EV)への転換に取り組んでいます。また、電力会社も再生可能エネルギーなどの技術開発を進めており、カーボンニュートラル実現において重要な役割を担う産業です。
カーボンニュートラルと
「食」の関係

カーボンニュートラルは、実は農業とも関わりがあります。世界の温室効果ガス排出量のうち、約4分の1が農業由来のガスです。日本の農林業分野でみると、主に家畜の排泄物や農耕地の土壌、堆肥から排出しています。
農林水産省は、持続可能な食作りの仕組みとして「みどりの食料システム 」戦略を始めました。化石燃料を使う化学肥料の30%低減 や有機農業の拡大を戦略に取り入れ、カーボンニュートラルへの貢献を図ります。
また、農業では動植物から生まれる「バイオマス資源」が豊富です。バイオマス発電へ転用することで、農業におけるエネルギー源の低炭素化が可能になるでしょう。他にも、AIやIoTを活用した「スマート農業」による省力化など、さまざまな取り組みがあります。農業でも脱炭素化を目指し地球温暖化の解決に努めることで、私たちの食の安定供給に繋がります。
2050年までの
脱炭素社会を目指す
「カーボンニュートラル」
に注目
温室効果ガスの総量ゼロを目指すカーボンニュートラルは、2050年までの実現が目標です。目標達成のため、政府や自治体だけでなく、民間企業による温室効果ガス削減の取り組みも本格化しています。
私たちの生活に密接する「食」についても、農業の脱炭素化が重要です。気候変動による食糧危機といった問題を回避するためにも、カーボンニュートラルの実現に期待が寄せられます。